乳房再建用インプラントが手に入らなくなる!?|乳腺外科・美容外科・形成外科|バスト医療のナグモクリニック [ 東京・名古屋・大阪・福岡 ]

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2020.03.26お知らせ

【 緊急速報 】 乳房再建用インプラントが手に入らなくなる?!
ナグモクリニック、再建用インプラント無償提供

緊急速報
乳房再建用インプラントが手に入らなくなる!?
ナグモクリニック、再建用インプラント無償提供

我が国では毎年9万人の女性が乳がんとなり、うち4万人が全摘手術を受けています。この手術は女性の胸と心に大きな傷を残します。

もちろん乳房再建という手術によって乳房を取り戻すことはできます。しかし通常はエキスパンダー(組織拡張器)という水の入った袋を挿入して皮膚を引き延ばし、8ヶ月後に入れ替え、さらに乳頭の再建、乳輪の入れ墨と、乳がんの手術を含めれば4回の手術と1回の入れ墨が必要です。そのうえ、かつては保険が効かなかったために100万円以上の費用を負担しなければなりませんでした。

そこで私は今から25年前にインプラントを用いた皮下乳腺全摘同時再建という手術を始めました。この方法には以下のような利点があります

  • 傷が目立たない:脇の下とアンダーバストの小さな傷から乳腺を取ります。
  • 生存率は変わらない:温存でも全摘でも生存率は同じなのですから皮下乳腺全摘の生存率も同じです。
  • 局所再発率も全摘と同じ:温存療法は局所再発率が高いのですが、皮下乳腺全摘の局所再発率は全摘と同じであることが報告されています。
  • 1回の手術で完成する:エキスパンダーを用いず、乳腺を取ったと同時にシリコンを入れます。
  • 長期間の入院が必要ない。

そして乳房再建に保険が効くように、以下のような活動を行ってきました。

  • 乳房インプラント研究会の発足:乳房インプラントを用いている形成外科と美容外科にインプラントの使用状況を全症例登録させ、安全性と有効性を確認しました。
  • 乳腺外科・形成外科懇話会:乳がん手術をする乳腺外科医と、乳房再建をする形成外科医が、膝をつき合わせて腹を割って情報の交換ができる会を設立して全国キャラバンを行いました。
  • 乳房オンコプラスティックサージャリー学会の設立:同志とともに乳房再建の学会を設立して5年間事務局を務めました。

こうした活動によって5年前に健康保険によってインプラントを用いた乳房再建が可能になりました。日本中の全ての女性に恩恵がもたらされるようになったのです。

ところが昨年(2019年)になって大地を揺るがすような大事件が生じました。乳房再建用のインプラントとエキスパンダーの回収騒ぎが生じたのです。事の発端はリンパ腫と呼ばれる病気の報告です。その詳細は以下の通りです。

  • 乳房再建や豊胸術の目的で挿入した乳房インプラントの周囲に生じます。
  • 頻度は3300人に1人といわれ、非常にまれです。
  • その多くがアラガン社製の表面のザラザラしたテクスチャードタイプでした。
  • 症状は乳房の周りにリンパ液が溜まり、ときにしこりが生じます。
  • インプラントとその周囲の被膜を切除することによって治ります。
  • ただしその病気が全身に及ぶときは抗がん剤が必要です。

アメリカの厚生労働省にあたるFDAは、この報告を受けて当初は静観の構えでした。しかし反響が大きくなったため、アラガン社を指導してテクスチャードタイプのインプラントとエキスパンダーを自主回収させることにしました。アラガン社はその代替品として表面のツルツルしたスムースインプラントを供給しています。

この報道を受け医療界と乳がん患者さん達はパニック状態になっています。その要点を、リンパ腫の発生原因、再建後の対策、今後の二次再建、今後の同時再建に分けてご説明しましょう。

リンパ腫の発生原因

  • がんの原因は炎症です。喫煙から肺がんが、ピロリ菌による胃炎から胃がんが、肝炎から肝がんが、腸炎から大腸ポリープ・大腸がんが、発生します。しかし炎症があっても一日でがんが生じることはありません。10年20年と炎症にさらされて、しかも一部の人にがんが生じるのです。
  • インプラント挿入直後、炎症によって周囲にリンパ液が溜まります。術後は超音波検診をしてリンパ液があれば注射器で取り除きます。何回も溜まるときは炎症を抑えるためにステロイドホルモンを注入します。その後も生涯にわたって超音波検診を続けるでしょう。
  • しかし乳房再建後、超音波検査を行わなければ、リンパ液は溜まったままです。術後の検診を短期間しか行わなければ、リンパ液やインプラントの破損は放置されたままになり慢性炎症を生じます。一部の人ではリンパ腫が生じるでしょう。
  • 一部の医療施設でリンパ腫が生じたからといって、全ての医療施設からインプラントを回収したことは正しいのでしょうか。そのおかげで乳房再建を受けられない女性が続出しています。術後検診を行っていない施設にはインプラントを使用させないようにすれば、リンパ腫は防げたのではないでしょうか。

すでに乳房再建を受けられたひとへ

  • 超音波検査またはMRI検査によってインプラント周囲にリンパ液が溜まっていないこと、破損がないことを確認してください。
  • 毎年の超音波検査を受けて異常がなければ、インプラントを除去する必要はありません。
  • リンパ液の貯留や周囲のしこり、破損、拘縮(硬くなったり変形すること)があるときは、入れ替えまたは周囲の被膜切除が必要です。術後の超音波検診ができる形成外科医にご相談ください。
  • 脂肪注入やヒアルロン酸では再建はできません。吸収されたりしこりを作ったりします。

これから二次再建を受けようとお考えの方へ

  • 現在、保険適応となっているのは表面がツルツルしたスムースインプラントです。
  • ただしスムースインプラントは被膜拘縮(硬くなったり変形したりする)、リップリング(皮膚にシワが寄る)、破損しやすいといわれて、今までは使用されなかったものです。
  • 近年、こうした問題の少ない、マイクロテクスチャード(表面が微細にザラザラしたもの)でアナトミカル(しずく型)のものが健康保険適応になりました。

これから一次再建をご希望の方

  • 理想的なインプラントが出回るまで待つ時間的猶予はありません。
  • 保険で自家組織再建を勧められることもあるでしょう。ただし背中やお腹に大きな傷が付いて、回復に長い時間がかかるため、インプラントが保険認可になってからあまり行われなくなった方法です。
  • まず全摘か皮下乳腺全摘を受けて半年してからスムースインプラントによる再建を勧められるかもしれません。それまでの間、通常はエキスパンダーを挿入しますが、2回の手術が必要なため時間的、経済的、身体的、精神的負担が倍増します。
  • 私はこれまでエキスパンダーを用いずに一期再建(たった1回の手術で再建する)を行ってきました。そこで当院で一次一期再建を希望される方にはマイクロテクスチャード・アナトミカルインプラントを使用します。

何十年もの時間をかけて築き上げてきた「インプラントによる乳房再建」を後退させてはなりません。安全で美しい乳房を再建するための努力を怠ってはならないのです。

2020年3月26日付け

(文責:ナグモクリニック総院長 南雲 吉則)

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