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 2002年のデータベースから引用されて、2006年に発表された文献では、世界の癌の現状を見ると、部位別には罹患数が最も大きいのが肺癌で男女計1,352,321人、2番が乳癌(女性)で1,152,161人でした。乳癌は女性単独では最大でありました。死亡数は、1番が肺癌で男女計1,179,074人、2番が胃癌で男女計699,803人、3番が肝臓癌で男女計598,412 人であり、乳癌は5番の411,093人でした。この結果、全世界的に見て、最も危険な癌は肺癌であり、女性に限れば乳癌ということです。

 日本女性の罹患率は欧米諸国に比べれば低いものの、増加をつづけていて、しかも死亡率は欧米諸国では低くなってきているにもかかわらず、日本では増え続けていることが問題です。乳癌検診の受診率の差が聞いていることが原因という可能性があります(日本では地域差がありますが、およそ10%から12%程度に対してその数倍(5~6?)は高い)。
女性にとっての癌の罹患リスク(癌にかかる危険率)で乳がんは、年齢別に見てみると20,30歳代では子宮がんに次いで2番目、40,50歳台では1番高く、60歳代で3番目に高い癌です。つまり、40歳代から50歳代という、人生でいろいろな点でこれからさらに、というときに最も罹りやすい癌ということになります。
 日本人女性は、生涯(0歳から89歳まで生きたと仮定して)16人に1人が罹ることになります。

引用文献)
F. Kamanger, G.M. Dores, W.F. Anderson: Patterns of cancer incidence, mortality, and prevalence across five continents: Defining priorities to reduce cancer disparities in different geographic regions of the world. J Clin Oncol 2006;24:2137-2150

 わが国の乳癌検診の歴史は1961年頃から、1部の地区において小規模な検診が始められたようです。そして、1975年から、日本対ガン協会の支援と乳癌研究会の協力によって進められ、1991年からは日本乳癌検診学会が発足して現在にいたっています。検診方法においては、1987年に老人保健事業に組み込まれ、視触診法が標準と定められましたが、2000年に厚生省から「がん予防重点健康教育及び検診実施のための指針」が出され、乳癌検診においてマンモグラフィを導入する方針が打ち出されました。これは、米国では1960年代、カナダ、英国では1980年代にマンモグラフィ併用検診の効果が盛んに検討されていたことに送れること、数十年になります。
 がん検診の最大の目的は、がんによる死亡数の減少ですが、早期にがんを発見することの意義は他にもあります。早期に発見すればそれだけ、治療の際にいろいろな選択肢が生まれて来ることです。乳房温存もその1つで、早期であれば抗がん剤などの使用頻度も減ってきます。治療に伴うさまざまな精神的、肉体的、そして経済的苦痛、負担が減るのです。これらの検診の恩恵は、数字としては現れにくいものなので、死亡率の減少ということだけが兎角注目されてしまうのですが、検診の大切な意義なのです。
 有効な乳癌検診の方法はどういうものでしょうか。このことを述べる前に、検診がある団体や地方の財源のみで行われる場合と、自己負担で行う場合とに分けて考えねばなりません。前者では、費用と効果のバランスがとても重要になります。つまり、支出に見合う効果の算出が大切で、効果において絶対的なものは死亡率の低下になります。後者では、なるべく安価で、早く出来て、早く見つけられる方法が大切です。腫瘍を見つける場合、画像診断は欠かせません。視触診ならば、他人にしてもらうよりも自分で毎月でも行う方が早く発見できる道理です。「自分では、触ってもゴツゴツしていてわからない。」という方の乳腺は、慣れない他人ではもっと分からないことになります。普段が分からなければ、判定のしようがないからです。
 乳がんという病気は、それがどこに、どれだけあるかを示されなければ治療になりません。そのために、画像診断があります。画像診断には、一般的な診断機種として、レントゲンと超音波があります。レントゲンは、組織を放射線が通過した影として、超音波は組織に当たって跳ね返ってくる音波を画像として描出するのです。CT,PET,またアイソトープなどもありますが、これらは病変を見つけたあとの特殊な用途になります。MRIは最も感度(検出力)があり、近未来的には有望な検診機器ですが、目下は高価なのと時間がかかり、感度が高すぎて本物かどうかの判定に時間がかかってしまいます。したがって、乳腺疾患の一般的な画像診断方法は、マンモグラフィ(乳房専用X線装置)と超音波検査です。乳房撮影用レントゲンはマンモグラフィと言われ、特殊な装置で乳房を挟んで撮影します。挟むところで、テクニックが必要で、そのための基準や技能判定もあります。乳癌検診学会の中央精度管理委員会というところで、検定が行われていて、撮影する技師、読影診断する医師、そして機械を含めた施設に対して評価します。画像診断での乳癌の兆候は、腫瘤像(しこり)と微細石灰化像(1mmの数分の一以下のカルシウムの沈着)です。微細石灰化像は、ごく早期の乳癌を発見する所見として注目され、淡いごく初期の石灰化像はマンモグラフィでしか映らないものが多いのです。しかし、マンモグラフィには、乳腺が厚くて密度が濃いと、小さな腫瘤を見落としてしまうという欠点があります。この場合は超音波が優れているのです。マンモグラフィはフィルムに出されるので後で再検討でき、記録保管が簡単ですが、超音波は画像をその時点で観察、判断しながら進める検査なので、検査施行者の経験と知識が大事です。各々の特徴を考慮して両方でチェックするのが最も理想的なのです(図2)。

 それでは、視触診、マンモグラフィ、超音波検査の3者を比較して見ましょう。図1をご覧ください。超音波検査とマンモグラフィは相補的(お互いが補い合ってより正確に)な関係で、ほとんど視触診をカバーしています。乳頭異常分泌だけが視触診で重要ですが、マンモグラフィで検査をするときに、注意してみれば分かることが多いし、自己検診で分かるのです。


参考文献)
松永忠東 他.職域集団に対する乳癌検診 -検診方法の選択と要精検率、癌発見率- 日乳癌検診会誌 
11(1): 81-88,2002 松永忠東 他.Sonographic Features of Nonpalpable Carcinoma of the breast.Topics in Breast ultrasound 119ー124 1991

 乳癌を早期に見つけるための大切な兆候は、
1)腫瘤(“しこり”として触知するものから画像でのみ発見される腫瘤像まで)、
2)微細石灰化像、
3)血性乳頭異常分泌(妊娠、授乳期以外に、血液が少し混じった乳頭からの分泌液で、透明な黄色から黒色まで様々)の3つに要約できます。
この内、血性乳頭異常分泌は視触診の際、または自己検診ではもっと早くに発見できます(図3)。それぞれの検査の流れを図で紹介します(図4~7;注 この図は、南青山ブレストピアクリニックのHPで使用していたものです。都がんの時代から実際の診療を経て、システム化した方法です)。

早期乳癌の発見3つの要素

乳がん検診

乳がん検診

精密検査

精密検査
参考文献、
著書) 松永忠東 等.非触知乳癌の診断と病理所見.日乳癌検診会誌  9(1):103-110,2000 松永忠東.乳癌検診での要請査所見と精密検査の進め方 金原出版 診療2頁の秘訣 32-33,2004
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