HOME >
脂肪注入による豊胸術
脂肪注入豊胸術をする前に
小さな胸やしぼんだ乳房を豊かにしたいという女性の願いを可能にするのが豊胸術です。
その方法は、日本美容外科学会(JSAPS)が行った第4回全国美容医療実態調査(2021年9月29日付け)によると以下の内訳になっています。
- 脂肪注入 3752件(50.6%)
- ヒアルロン酸注入 2,131件(28.7%)
- インプラント 1,537件(20.7%)
でした。
つまり豊胸術の半数は脂肪注入が行われていることになります。
しかし大金を払って脂肪注入を受けたのに、すぐにしぼんでしまい、ほとんど大きくならないばかりか、大きなしこりが生じてしまったら医療ミスでしょう。
そして脂肪注入を行っている医師のほとんどが責任を取らず、多くの患者さんが泣き寝入りしているとしたら、それは詐欺同然です。
あなたが脂肪注入による豊胸術を希望してクリニックを訪れると、次のような経過をたどります。
- カウンセリング:
美容外科医はあなたの胸やお腹を観察しながらこういうでしょう。「余分な脂肪を取って、胸を豊かにするので一挙両得ですと。あなたが2カップ大きくしたいというと、それは可能ですと答えます。しかし手術の直前に一言付け加えます。「人によっては脂肪吸収の早い人がいます」。 - 手術手技:
腹部や大腿から約500ccの脂肪を吸引しますが、痩せた人では十分な脂肪を採取するのは難しく、取りすぎるとデコボコになります。採った脂肪のうち半分は壊れた脂肪なので廃棄されます。残りの250ccが左右の胸に125ccずつ注入されるでしょう。 - 生着率:
しかし注入された脂肪のすべてが生着するわけではなく、時間と共に半分は吸収されて最終的には50cc程度しか残らないでしょう。2カップ大きくするためには複数回繰り返さなければなりません。幹細胞を同時に注入することによって生着率を高めることができるという報告があるので、当院では細胞培養センターを開設して「脂肪幹細胞」を培養して同時に注入を行っていましたが、望ましい結果は出ませんでした。 - 合併症:
一年経つと残った脂肪細胞が一カ所に固まり始め、痛みを伴うこともあります。これを脂肪壊死といい死んだ脂肪がセッケンの様に硬くなるのです。自然になくなることはなく生涯残ります。また死んだ脂肪は体内で化石となってマンモグラフィーでは石灰化として写りますのでがんとの鑑別が必要です。 - 合併症への対策:
胸にしこりができたときはまず当院の様な乳腺専門クリニックでマンモグラフィーと超音波検査を受けて下さい。がんの可能性があれば針生検を行います。
無視できない大きさの脂肪壊死が見つかったときは切除します。しこりの真上を切ると傷が残りますので脇の下から切除します。
同時に豊胸をしたいときはもっとも信頼のできるシリコンインプラントを同時に挿入します。
写真1:脂肪注入をして変形したバスト
写真2:脂肪注入後のマンモグラフィー
まとめ
- 脂肪注入による豊胸術は費用が高額で、高い技術力を必要としないため、多くの美容外科が行っています。
- しかしほとんどは吸収されて胸を大きくする効果は少なく、しこりや石灰化を生じます。
- しこりを取るために費用がかかり、胸を大きくするためにさらに費用がかかります。
- 美容手術は成功報酬です。大きくならなかったときやしこりができたときは無料で再治療に応じなければなりませんが、脂肪注入しかできない医師はその技術がありません。
- まず効果のない脂肪注入は止めるべきです。
術前に十分な説明がなく大きくならずしこりを生じたときは返金や再治療費の支払いに応じるべきです。
私は乳腺専門医として脂肪注入後の検診、脂肪壊死の切除、再豊胸に当たってきましたが、いまだに脂肪注入後の被害者が減らないためにこの一文を書きました。
皆様が脂肪注入豊胸術を受ける前に考え直していただくための参考になることを願います。
- 令和3年12月16日
- ナグモクリニック総院長 南雲吉則

◆ 当院の施術症例写真、閲覧ご希望の方へ
医療法改正によりホームページへの術前・術後症例写真の常時掲載が不可になりました。当院の「豊胸」症例写真閲覧ご希望の方は、下記の「お申込みはこちら」より、メール送信下さい。当院より閲覧可能なURLアドレスを返信にてお知らせいたします。
(その他の施術症例写真は、準備でき次第、HPでお知らせいたします)- ヒアルロン酸注入 豊胸法
- 豊胸術/人工乳腺法
※ご送信アドレスは、当写真閲覧アドレスのお知らせ返信にしか使用しません。(プライバシーポリシー)
※携帯電話メールの方は、PCメールの受信拒否設定をしている場合は解除ください。
※携帯電話メールの方は、PCメールの受信拒否設定をしている場合は解除ください。